航空機
2015/12/14

Vision SF50の新開発アビオニクス 機能紹介2

航空機事業部
JGAS AVIATION BLOG

[→機能紹介1はこちら]

先日のブログで、まもなくデリバリー開始予定の単発ジェット機Vision SF50に搭載される新開発アビオニクス「Cirrus Perspective Touch」を取り上げました。

今回は、先日ご紹介しきれなかった機能の中で、監視・警告に関係するものをご紹介したいと思います。


TCAS I

TCAS (Traffic alert and Collision Avoidance System)とは、空中衝突の恐れがある他の航空機の存在をパイロットに警告する装置です。

「TCAS I」は、航空機の周囲の交通状況を監視し、他の航空機の相対位置と高度に関する情報を提供する装置です。他機と接近して衝突の恐れがある場合には、音声による接近情報(TA, Traffic Advisory)を発し、パイロットに警告します。「TCAS II」は、これに加えて回避方法の指示を出しますが、TCAS Iの場合、回避行動の判断はパイロットに委ねられています。

国際民間航空機関 (ICAO) は、航空運送事業の用に供する(有償で旅客や貨物を運ぶ)「客席数が19又は最大離陸重量が5,700キログラムを超え、かつ、タービン発動機を装備した飛行機」にTCAS IIの搭載を義務付けており、日本の航空法でもそのように規定されています。

Vision SF50の場合、TCASの搭載は義務ではありませんが、安全性を向上させる目的でTCAS Iが搭載されています。

SRシリーズにもTCAS Iに類似した機能を持つ警報装置(Active Traffic Information)が搭載されていますが、厳密にはTCASの機能要件を満たしていません。SRシリーズの場合はそれで十分ですが、より高速で飛行するVision SF50には、完全なTCASシステムが搭載されることになりました。

Vision SF50に搭載されるTCAS Iは、周囲80nm、高度10,000ft、最大で75機のトラフィックを監視し、他機と接近した場合は「Traffic, Three o'clock, Same Altitude, Two Miles」というような管制指示に似た警報を発します。

TCAS I


地形表示システム

Vision SF50には、SRシリーズと同様、SVT (Synthetic Vision Technology)という地形表示システムが搭載されています。

地形データベースと航空機の位置に関する情報をブレンドしてリアルタイム3D画像を作成し、フライトをする上で障害となる山や鉄塔等を3Dで表示します。

オプションでTAWS (Terrain Awareness and Warning System)という対地接近警報装置を装備すると、衝突の恐れがある場合に警報が発せられるようになります。

地形表示システム


赤外線ビジョン

SRシリーズと同様、オプションで搭載可能なEVS (Perspective Enhanced Vision System)という装置は、赤外線技術により、雲や障害物をディスプレイ上に表示させます。夜間の駐機場や滑走路、フライト中にも活躍します。

強化型ビジョン


サーフェイス・ウォッチ

滑走路、誘導路の状態を監視・警告し、不適切なシチュエーションから離陸してしまう事故を防止します。

たとえば、離陸しようとしている滑走路が短すぎたり、あるいは誤って誘導路から離陸しようとしている場合などに、警報を発します。

路面監視システム


いかがでしょうか。Vision SF50は、小型プロペラ機に比べてコックピット内での作業が多く、なおかつスピードも速いため、状況把握は重要な課題です。そんな中で、今回ご紹介したような監視・警報装置は大きな役割を果たします。

確実に使いこなして、安全で楽しいフライトを実現させたいですね。

今後も、Vision SF50とCirrus Perspective Touchの情報をお伝えしてまいりますので、ご期待ください!

CIRRUS JAPAN

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