整備
2016/09/22

故障探求について

整備本部
JGAS AVIATION BLOG

皆様こんにちは鹿児島の整備担当です。
今回は小型飛行機の故障探求について書かせて頂きます。

故障探求とは、その字の通り故障の原因を探ることです。皆さんも普段の生活の中で、例えば家電製品が動かなくなって「何が悪いんだろう?」と調べた事はないでしょうか? 

以前私の車であった話ですが、エンジンをかけた直後にコンソールの奥から「カツカツ」といった異音がした事がありました。音の感じから、恐らくエアコン関係だろうなと思い、必死に故障探求をしました。

結果としては不具合の原因が分からず、車のディーラーに持って行きました。やはりエアコンのエア・ミックス・ダンパ・モーターの不良と言われたのですが、その時は心底羨ましいなと思いました。何故なら、専用のダイアグ(故障診断装置)をプスッと挿しただけで故障原因がダイアグ上に表示されるとは、感動でした!!


では、飛行機ではどのように故障探求をするのでしょうか。

大型機では故障診断を飛行機自信がしてくれますが、小型機ではそんなにハイテクなものはありません(今のところ)。

※大型機は不具合部品をピンポイントで指定してくれます(一部の不具合を除く)。

パイロットから不具合の発生状況を詳しくヒアリングしたり、警報灯の点灯有無、システムの流れを頭の中で想像したり、ワイヤリング(電線)を点検し確認等、かなり原始的にやるしかありません。

そのため、小型機の故障探求はかなりの経験と時間が必要であり、整備士によって故障へのアプローチの仕方も変わってきます。そのため、1人で悩んでいる時は他の整備士に聞いてみると、そういったアプローチの仕方もあるのだなと勉強になります。


以前、私が故障探求をした際にかなり時間がかかってしまった件について説明致します。

その際の機体はCessna172型で不具合内容は、燃料が搭載されているのにFUEL LOW R(右タンクの燃料が枯渇に近い)のアナンシエーション(警告灯)が点灯・消灯を繰り返すというものでした。燃料が入っているのに、このアナンシエーションが点灯するのは明らかな不具合です。

アナンシエーション・パネル

その際に私はRH FUEL SENDER(右側タンクのフロート受感部)が不具合の原因であると思い新品に交換しました。

小型機のFUEL SENDER
小型機のFUEL SENDER。燃料タンクの中でフロートが浮いており、その高さで燃料量をコクピットに表示する

その後マニュアルに定められている点検と、燃料を実際に給油して確認しましたが、その際には全く異常は認められなかったため修理完了となりました。

しかし・・・修理完了後のフライトで不具合が再発したのです。

アナンシエーションの点灯&RH(右側)の燃料計が突然ゼロを差しては、アナンシエーションの消灯&燃料計の指示が元に戻る状態が繰り返される状況になってしまったというのです。着陸後に再度電源を入れて確認すると不具合は認められませんでした。

飛んでる時しか不具合が出ない・・・

不具合が出ていない状態での故障探求は難しく、内装を外して配線、コネクターやアナンシエーション・パネル、燃料計を確認しても異常はありません。整備後のフライトで不具合が再発した以上、整備士として明確な原因が判明するまでは飛んで良いという許可を出せません。

そのまま故障探求を2日程実施し、もうどうして良いか分からず、迷宮入りしてしまいました。

コクピット、計器、配線、、、チェック出来るところはすべてOKだった・・・

あと、不具合再発後にチェックしていないのは交換した新品のFUEL SENDER。念のために、FUEL SENDERを確認してみよう。交換したRH FUEL SENDER(フロート受感部)を確認する為に、燃料を全て抜きSENDERを取り卸しました。テスターを使って確認したところ、あるポイントにフロートが位置した際に突然不具合が出たのです。しかも、ほんの一瞬。

まさか新品の部品が故障しているとは思いもしませんでした・・・。その部品を返品し、再び新しいものに交換したところ完全に不具合は解消されました。

当時は、本当に辛かったですが、今となっては良い経験です。整備士は、ピンチにこそ成長するものだと痛感しました。

長くなってしまいましたね、最後まで読んで頂きありがとうございます。
引き続き安全で確実な整備を実施して参りますので宜しくお願い致します。

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