整備
2017/07/03

バキューム・システムについて

整備本部
JGAS AVIATION BLOG

皆さま、こんにちは。鹿児島の整備担当です。

いつも弊社のブログにお付き合いいただきありがとうございます。

梅雨が明けてすっかり夏の暑さになりましたね。部屋に戻ったらついついエアコンをつけてしまいメーターが上がりすぎた、なんて経験ありませんか?

私は睡眠をとるときにタイマー機能を使ってなるべく電気代をかけないように頑張っております。


さて、今回は、バキューム・システムについてお話しします。

飛行機のシステムに空気を取り込んで作動する機器(電気式の機器を除く)があります。

飛行機のバキューム・システム


・Attitude Indicator

画像の上側の機器で、ジャイロの出力で表示機構を機械的に直接作動させて姿勢を表示するもので、水平儀(Attitude Indicator, Gyro Horizon)と呼ばれ、空気式水平儀と電気式水平儀があります。

その他としては、水平儀からジャイロ装置部分を取り去りV/G(バーティカル・ジャイロ)と指示器を別にし、ジャイロの出力をいったん電気信号に変えて姿勢を表示するもので姿勢指示器(ADI)と呼ばれています。

ジャイロは、ローター軸が常に地球の重力の方向と一致するように制御された自由度2のジャイロです。ジャイロの構成として、外ジンバル(ロール軸)と内ジンバル(ピッチ軸)に分けられ、外ジンバルと機体との相対角度からロール姿勢に関する情報、内ジンバルと外ジンバルとの相対角度からピッチ姿勢に関する情報を得ています。


・Directional Gyro

飛行中の航空機の方位を表示する指示器であり、方位カード型定針儀と方位ドラム型定針儀があります。画像の下側の機器は、方位カード型定針儀です。

ローターの回転軸を水平にした自由度2のジャイロを使用し、方位はジャイロの剛性を利用したものです。ジャイロは空間に対して常に一定方向を保っているのでコンパスの役目をし、機体が一定方向を向いているかが分かります。ただし機体の加速度や自転の為指示が変化(1時間に15°)するので、磁気コンパスをマスターにして定針儀のメモリを修正する必要があります。

定針儀の他にジャイロシン・コンパスと呼ばれる遠隔指示システムがあります。定針儀からジャイロ装置部分を取り去りジャイロ(D/G:Directional Gyro)と指示器(RMI)を別にし、ジャイロの出力をいったん電気信号に変えて方位を表示するものです。


上記のようなシステムによって航空機の姿勢や方位を知ることができます。

計器もデジタル化され便利になりましたが、原点を辿るとこのようなシステムがあるからこそ、現在、航空機が発展しているんですね。

次の機会があれば、ジャイロのドリフトについてお話ししようと思います。

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