運航
2015/07/06

米国REDBIRD社のFTDを導入します(その1)

運航本部
JGAS AVIATION BLOG

いつもお読み下さり、ありがとうございます。運航本部長の山口です。今回から4回の連載で、民間航空操縦士訓練学校が導入する操縦訓練装置(フライトトレーニング・デバイス/Flight Training Device:FTD)についてお話しします。

FTDとは何か、製造する会社は、民間航空操縦士訓練学校が導入するFTDの機種は、など民間航空操縦士訓練学校を目指すパイロットの卵たちにはもちろん、そうでない方にも興味深い話になると思います。お愉しみいただければ幸いです。


① FTD(Flight Training Device)って何?

パイロットを目指している方ならご存知だとは思いますが、そうでない読者のため、最初にFTDとは何かについて説明しておきましょう。

FTDとは、エアライン機の操縦訓練で使用される大型のフライト・シミュレータの簡易版といった操縦訓練装置です。航空機のフライト・デッキ(操縦室、いわゆるコックピット)を模しており、離着陸を含む各種の操縦練習が可能です。コックピット内の画像はネットを検索すればたくさん見つかりますから、以前に私が某エアラインで操縦士をしていた頃のシミュレータの外観(全日空訓練センター:A320)を紹介しましょう。

エアバスA320フルフライト・シミュレーターの外観
エアバスA320フルフライト・シミュレーターの外観

FTDは、こんなに大袈裟な装置ではありません。ちょっとがっかりするかもしれませんが、こんな感じです。

只野塾が導入するFTDのコックピット
民間航空操縦士訓練学校が導入するFTDのコックピット

モーションと言いますが、操縦室全体を前後左右に傾斜させたり上下に動かしたりする装置は付いていません。FTDにもモーションがあった方が、よりリアルな操縦感覚を得ることができますが、敢えて装備していないFTDを導入します。その理由は次回にお話ししますが、モーションがなくても操縦訓練には十分です。

民間航空操縦士訓練学校では、このFTDで操縦訓練の一部を実施することにより、訓練の高品質化、効率化を図ることにしています。


② 米国REDBIRD社に出張しました

6月16日から21日の日程で、このFTDの研修を受けるため米国REDBIRD社に只野校長とFTDの整備を担当する整備士さん、私の3名で出張しました。民間航空操縦士訓練学校では米国REDBIRD社のFTD(正確にはAATD:Advanced Aviation Training Devicesと言います)を導入することにしたからです。

FTD自体については次回に詳しくお話ししますので、今回は米国REDBIRD社の紹介をしておきましょう。日本で、このREDBIRD社のFTDを導入するのは当校が初めてです。とても安価で、かつ性能も十分なAATDを製造するREDBIRD社は、米国テキサス州オースチン(Austin)市にあります。オースチン市街はオースチン空港(AUS)からタクシーで20分弱、REDBIRD社はさらに10分といったところ。広いオフィスと製造工場が、いわゆる工業団地といった場所に立地しています。

サウスパーク4と呼ばれる区画に立地しています
サウスパーク4と呼ばれる区画に立地しています
 
REDBIRD社の玄関先で(只野塾長と整備士さん)
REDBIRD社の玄関先で(只野校長と整備士さん)

玄関を入ると受付があります。私たちは広い会議室に案内されました。会議テーブルには電話会議用のポリコム、大きなディスプレイもあって、弊社JGASの会議室によく似ています(もちろん弊社の会議室はこんなに広くはありませんが)。

REDBIRDのロゴが印象的
REDBIRDのロゴが印象的
 
REDBIRD社は自らフライトスクールも運営しています
REDBIRD社は自らフライトスクールも運営しています。壁にはその写真が多く展示されていました

3日間の研修を案内して下さったREDBIRD社のスタッフは皆若く、熱意溢れる仕事ぶりが印象的でした。この辺りの雰囲気も、弊社とよく似ています。

左からカスタマ・サポート部長のJeffさん、営業担当のMichaelさん、導入サポート・マネージャのAllenさん
左からカスタマ・サポート部長のJeffさん、営業担当のMichaelさん、導入サポート・マネージャのAllenさん

REDBIRD社のAATDはOff the Shelf製品(オフ・ザ・シェルフ/それ専用に設計された部品を使わず、市販の部品を用いて製品を製造すること:米国では、このような言い方をよくします)です。市販のパソコン部品やディスプレイを組み合わせて製造するため、部品が入手し易く安価でありながら、高性能なAATDを製造できます。

良い製品をより安価に。私がREDBIRD社から受けた印象は、まさに弊社JGASが目指している方向と同じだということでした。発想の方向性が同じであるだけでなく、スタッフの熱意も同じ。そして... 連載1回目の最後にREDBIRD社CEO(最高経営責任者)であるToddさんの言葉を紹介しておきましょう。

彼は言いました。我々はFTDを製造しているのではない、優れたパイロットを育てているのだ、と。

REDBIRD社が目指しているのは、優れたFTDを製造することではなく、その先を見据えた航空界に対する貢献です。弊社JGASもまさに同じ。私たちは民間航空操縦士訓練学校を開校し、運営することを目的にはしていません。優れたパイロットを育てることを通じて、日本の航空界に貢献したいと考えているのです。

次回は8月に鹿児島に到着するFTDについて詳しく説明します。お楽しみに。


民間航空操縦士訓練学校

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