パイロット
2016/07/04

編隊飛行

鹿児島FTC
JGAS AVIATION BLOG

ブログをご覧の皆さま、こんにちは。パイロットの宮田です。

梅雨明けの暑さはまたひとしおに感じられますが、お健やかにお過ごしのことと存じます。

8月になりますと、今年はブラジルのリオデジャネイロにおいて、リオ・オリンピックが開催されます。その4年後の2020年には、東京においてオリンピックが開催される予定であり、東京オリンピックについても、これからますます盛り上がりを見せていくことと思います。

さて、東京オリンピックと言えば、航空ファンの皆様は、1964年の東京オリンピック開会式で、F-86Fブルーインパルスの編隊が大空のキャンパスに五輪のマークを描いたシーンを思い出すのではないでしょうか?

ということで、今回は「編隊飛行」について投稿させていただきたいと思います。

今回は、私がかつて所属していた航空自衛隊の編隊飛行を基準に説明させていただきます。皆さまの中にも、航空祭などにおいて、航空機の編隊飛行を目の前でご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。


航空自衛隊の編隊飛行は、2機の編隊が最小となり、これを「ELEMENT(エレメント)」と言います。

長機【LEADER(リーダー):以下「LDR」とします ※「機長」ではありません】と、僚機【WING MAN(ウィングマン):以下「W/M」とします】の編成となります。

また、2つのエレメントから編成される4機編隊を「FLIGHT(フライト)」と言い、4機編隊以上を「MASS(マス)」と言います。

よって、LDRはそれぞれ、ELEMENT LDR(エレメント・リーダー)、FLIGHT LDR(フライト・リーダー)、MASS LDR(マス・リーダー)となります。


では、そもそもなぜ編隊飛行をするのでしょうか?

理由は様々ありますが、その大きな理由の一つに「時間短縮」があります。刻々と変化する戦況の中で、いかに迅速に対応するかが常に問われます。そのため、例えば離陸、あるいは着陸のフェーズにおいて、1機より2機、2機より4機で離着陸した方が、断然の時間短縮になります。よって、編隊離陸(FORMATION TAKEOFF)や、360°オーバヘッド・アプローチ、編隊着陸(FORMATION LANDING)を行うことにより、時間の短縮に努めているのです。

また、上空においては、様々な編隊隊形やその戦術がありますが、最も大切なのは「索敵」(広義には「見張り」を含みます)による「見敵必殺」(物々しくてすみません・・・)で、とにかく、いかに早く敵となるものを見つけるかが重要であり、それにより事後の戦いに大きく影響を及ぼします。その手段として、2つの眼より4つの眼、4つの眼より8つの眼・・・となるわけです。


また、編隊飛行においては「編隊の三精神」が存在します。それは、

1. STAY WITH LEADER
2. DON'T DISTURB
3. MUTUAL SUPPORT

の精神であります。

一つ目は、言うなれば「FOLLOW ME!」であり、決して「AFTER YOU!」とならない精神です。W/MはLDRを信じ、そして・・・リーダーたるもの常に大局的見地に立ち、部下を確実に掌握し、積極的に現場に進出、事に望んでは・・・等の帝王学やトップリーダー論は、それなりの立場の方にお聞きください。これ以上は割愛させていただきます笑

二つ目は、「邪魔するな!」です。編隊飛行により、1+1を「2」以上の力、つまり3にも4にもしようとする中で、W/MがLDRの邪魔をして、2以下の力にならないように!とする精神です。

三つ目は、「相互補完」の精神であり、私も常日頃から心掛けている精神です。武田鉄矢さんが演じる先生役で有名な「金八先生」に出てくる有名な台詞、「人という字は人と人が支え合って・・・」に近いかもしれません。どの仕事においても、あるいは普段の生活においても、色々と困難なこともありますが、それでも、どれも全て人の為すこと、お互いが補完し合えば、必ず道はあると信じております。


では、どうすれば、W/MとしてLDRにピッタリと追随することができるのでしょうか?

編隊飛行は、そのほとんどが感覚によるところが大です。そのため、いかに操縦するかを説明しようと思えば、どうしても「LDRがスーッと旋回に入れたら、パワーをサッと動かして、LDRの動きに応じてバンクをスーッと入れて・・」と擬音によるものになってしまいますし、とにかくやってみなければ説明が難しいところもありますが、それでも全ては原理原則です。「機軸」と「パワー」をLDRのものと一緒にすればよいのです。

しかしながら、LDRが行う旋回のROLL IN/OUTのやり方一つにしても、あるいはW/Mが行うパワー操作にしても、通常行っているやり方とは全く違います。また、旋回にしても外側旋回をするのであれば二通りのやり方が存在し、それぞれに対応した操舵が必要となります。

では、具体的にどこが違うか・・・それは弊社の鹿児島事業所に来ていただければ、さらに詳しく説明致しますので、いつでも気軽に遊びにお越し下さい!

なお、先日シーラス社の発刊する雑誌においても「Formation Flight(編隊飛行)Training」の特集が掲載されておりました。小型機の世界でも、広告用の写真を撮る際などには、編隊飛行が行われます。

いつの日か、シーラス機の大編隊が、日本の大空を覆い尽くす光景を見られるように、私自身頑張りますので、皆様のますますのご声援を引き続きよろしくお願いいたします。

その時には、読者の皆様がW/M、いやLDRになっているかもしれませんね。

JGAS操縦教官 宮田

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